”速い”・”使い勝手がいい”・”乗り心地がいい”こんな特徴を持ったオープンカーを探すのは難しいと思います。いずれもオープンカーの根本と相反しますが、欲しいポイントでもありますよね。
そもそもオープンカーの醍醐味は、「優雅に風を感じながらクルーズすること」であり、加えてそのボディタイプの特性から、剛性を保つための補強で車重が重くなりがちであることから、速さを追求したものではありません。
また、オープン時の屋根の収納により、キャビンやラゲッジスペースを浸食してしまうために、どうしても利便性を犠牲にします。多くのオープンカーは二人乗りであったり、荷物がほとんど乗らなかったりします。ここでの使い勝手は、「大人が4人乗れること」「ゴルフバック」が二つ以上載せられることとし、ゴルフバック二つ以上、というのは、2名乗車時とさせていただきました。乗車人数とゴルフバック積載本数を揃える意図となります。
乗り心地については、定義づけが難しいので、候補の中からの比較で検討しました。オープンカーはスポーティーなスタイリングのものが多く、乗り心地にを優先した設計も難しいのです。
今回も中古車でお値打ちの車両から候補を上げてみます。オープンカー自体がリセールを期待できるものでは無いため、中古車市場ではお買い得感があり、軒並み7〜12年ほど経過していると新車時価格の3〜4割程度での購入が可能です。この辺りでお勧めを見てみましょう。
さて、選んでみると、「使い勝手がいい」だけで候補は一気に絞れます。2名乗車でゴルフバック2つ以上、という時点で、2シーターはほぼ全滅。ポルシェが選択肢から外れます。4人乗りオープンカーで「速い」ものを選ぶと、「速い」の定義にもよりますが、300馬力以上、を一つのバロメーターとして、メスセデスAMGのC43カブリオレ、BMW435(440)iカブリオレ、アウディS5カブリオレの3台に絞ってみました。
この中で乗り心地がいいのはどれか?という問題ですが、これは好みが非常に大きく影響すると思います。乗り心地に起因する要素は何か、主なものを考えてみると、サスペンション、タイヤ・ホイール、シート、ボディ剛性、静粛性、などが挙げられます。それぞれ検証してみました。
①サスペンション
・435i・・・車両自体はスポーティーなイメージですが、揺れの吸収は必ずしも一発で吸収する訳ではなく、多少揺れながら収束させるタイプ。かと言って、ストロークが大きい訳でもないので、ゴツゴツ感の角を無くした感じで、先代の3シリーズカブリオレに比べると随分ラグジュアリーな要素を含んでいます。
・S5・・・車両重量1,990kgからくるどっしりとしたボディを支えるサスペンションは収まりが良く、少々硬めの印象を受けますが収束が速い印象です。
・C43・・・こちら3車種の中で最もハイパワーなエンジンを持っているからか、かなり引き締まった足を持つ。強い入力に耐える一方で、街乗りでのゴツゴツ感は否めません。
②タイヤ・ホイール
・435i・・・前輪225/40R19、後輪255/35R19と、前後輪でサイズを使い分けており、いずれも扁平タイヤと呼ばれる部類の薄いタイヤが装着されている。ラグジュアリーモデルでも同サイズであり、特にランフラットタイヤ装着時は、かなり硬い感触が社内にまで伝わる。しかしクラスの中では大きい部類の外径から、細かな凹凸の吸収力は高い。また、脱ランフラットにすることにより、スポーティーな車の性格と相反した乗り心地が得られる。
・S5・・・前後ともに255/35R19という扁平タイヤで、四輪駆動であるためにロードノイズが出やすいです。タイヤの性格が最も影響するタイプになります。もともとがクワトロシステムにより安定感を提供してくれるため、タイヤをコンフォートにすることで「走行性能」と「乗り心地」の両方を味わうことができます。
・C43・・・435iと同じ、前輪225/40R19、後輪255/35R19であるものの、足回りが強く引き締まっている為にタイヤもハイグリップが求められます。あまりコンフォート寄りのタイヤを履くと安心感に欠け、乗り心地にも影響します。
③シート
・435i・・・これが一番予想外でした。BMWというメーカーのイメージと、シャープな見た目のシートからは想像できないほど柔らかい座面で、まるでちょっとしたソファーのような感触があります。背もたれはMスポーツであればセミバケットになっており、固定してくれる安心感とソファのような贅沢な「いいとこ取り」となります。
・S5・・・こちらはシートが一回り大きく、程よいホールド感となります。よほど大柄でない限りゆとりがあり、長距離移動でも疲れにくい印象です。また、シートとは別ですが、フットレストのスペースにせり出しがあり、若干左足が窮屈という声もあります。
・C43・・・ホールド性、弾力ともに申し分なく、「さすがメルセデス」というシート。レザーの質感も良く、見た目も高級感があります。首元の暖房システムも標準装備。
④ボディの剛性感
・435i・・・決して不足ではありませんが、この3車種の中では最も軽快な印象を受ける代わりに、剛性感はやや劣ります。BMWは内装の作り込みも丁寧でビビり音などはほとんど出ないため、逆にボディの軋みに対しては必要以上に敏感になってしまいます。
・S5・・・補強がしっかりしているため、剛性感、重量感について他の車種よりもしっかりした感じがします。4輪全てが路面にエネルギーを与えるのを、安心して感じ取ることができます。
・C43・・・こちらも補強がしっかりしており、剛性はしっかりしているものと見込まれますが、足回りが硬い分、振動が出やすい構造です。
⑤静粛性
・435i・・・エンジン音は少し聞こえますが、直6ならではの心地良いサウンドで遮音性もまずまず。日常使いとしてもストレスなく楽しめ、オープンカーとしてはとても優秀です。
・S5・・・ロードノイズ、エンジン音、風切り音など、全てにおいて高水準。ソフトトップの素材にかなり拘っていることと、エンジン音の演出も少ないことから、静かで快適なキャビンを作り出しています。
・C43・・・あえて「聞かせるエンジン音」が大きく、「静かであること」を良しとしている訳ではない為、比較することが正しいかは分かりませんが、「静か」か「静かでない」かで表現するなら、後者なのでは、、、
| 項目 | 435i | S5 | C43 |
|---|---|---|---|
| サスペンション | ◎しなやか | ○安定 | △硬い |
| タイヤ影響 | ○ | △ | △ |
| シート | ◎ | ◯ | ◎ |
| 剛性感 | △ | ◎ | ◯ |
| 静粛性 | ◯ | ◎ | △ |
表にまとめるとこちらのようになります。乗り心地に起因する「音」については好みが分かれるところでしょう。435iについては、私が抱くBMWのイメージは、「スポーティーな車」でしたが、比べると、かなり快適性にも力を入れている印象でした。
ハイスペックな3車種で比べましたが、どれも魅力的な車です。後は何を重視するか、ですが、この3車種で見ると、走行性能に振っているものがC43、快適性が435i、安定感のS5といった感じで、メルセデスとBMWのメーカーイメージとは逆の印象を受けます。厳密にいうと、メルセデスはC180があり、BMWにはM4がありますので、比較対象にも問題はあるのですが、購入金額とエンジン性能を寄せたための選択となりました。(加速を比較した記事はこちら)
いずれにしても、スポーティーなBMWも、走行性能と居住性を高いレベルで両立しており、普段使いからアグレッシブな運転まで広く対応できそうです。今回は”速い”・”使い勝手がいい”を共通項として”乗り心地”で比較したので435i推しになりましたが、どのような要素を大切にしたいかによってその順番は変わります。
是非、ご自身が最優先する要素を忘れないように車選びをして、有意義なカーライフをお過ごしください。





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