私が運転免許を取得したのが1996年になります。免許取得以前から父や兄の影響で車好きだった私は、その限られた知識の中でも「小型のボディに大きなエンジンを積んでいる高級車」に憧れを持っていました。不思議とこの価値観は今でも継続しております、、、
まず、10代の若かりし頃から高級車というカテゴリーに興味を持った理由としては、車酔いしやすい体質であったことが挙げられます。子供の頃から車での外出は好きなのですが、どうもすぐ酔ってしまいます。ところが、ある友人宅の車に乗った時、その乗り心地の良さと、長時間酔わなかったことに感動を覚え、その車が高級車にカテゴリされる車種であったことから、高級車への憧れを持ちました。また、自宅は典型的な郊外の住宅地でありましたが、その細い道を出入りすることは大型車には難しく、当時自分が運転するわけでもないのに小型車の良さを感じていたのです。
ボディサイズは小型でも、エンジン、車重がしっかりとしていて高級車独特の路面からの入力をいなす足回り、微振動を抑えた上品な乗り味、こんな魅力にハマっていたのだと思います。
さて、運転免許を取る年頃、私は大学1年生の18歳で取得しましたが、友人達もこぞって免許を取り、バイトを始め、さて、「自分でも車を買ってみたい」、そんな似た境遇の仲間内でよく話すのが、「お金のことを考えずに車を一台所有できるとしたら、何を選ぶ?」なんていう話をよくしていました。
私の時代は今よりもスポーツカーに人気があり、「日産シルビア、スカイライン・トヨタスープラ・マツダRX-7」などが人気でした(学生ですから、妄想にも可愛気があり、非現実的は高級外車の知識はなかったのです)。
私の周りは特にスポーツカーブームで、マニュアル車が人気でした。私自身もマニュアル車を数台乗り継ぎましたが、究極の理想は先ほど述べた価値観から大排気量オートマ車に行ったわけです。
そうは言っても、その頃のオートマ車はミッションの精度が今ほど高くなく、変速時のショックや停車時の微振動などが目立ち、必ずしも快適な乗り心地を約束してくれるものではありませんでした。いくつか乗ってみて、排気量が大きい車は、微振動が少ない。トヨタのミッションは変速ショックが小さい、と言う印象を受けました。恐らく、多気筒エンジンのアイドリングの滑らかさ、当時のトヨタ車に多く感じられたオートマチックトランスミッションの”滑り”、が良いように感じられたのだと思います。また、大排気量エンジン特有の太い低回転トルクが変速時の回転数のギャップを小さくしており、これも好印象だったのだと思います。
さて、そんな中で選んでいくと、デザイン性や内装の豪華さも含め、また電動オープンにもなる「トヨタソアラ(40系 2001.4~2005.6)に辿り着いたのです。
運転してみると、まず驚かされるのがそのトルク。アクセルを踏むと、その豊かなトルクで車体を滑らかに運ぶ運動性能は高級車そのもの。上り傾斜も平面同様に淀みない加速をしてくれます。この感覚は現代の車でもなかなか再現できるものはないのではないでしょうか。

静粛性や内装の豪華さは現在でも色褪せることなく、むしろコストカットが進んでいない分、ラグジュアリー感は現行車両を上回るかもしれません。

一方で、時代を感じるものはパネル系とオーディオ、燃費が挙げられます。現行の液晶パネルをふんだんに使ったダッシュボードとは大分印象が異なります。シンプルなメーター類は運転者にはすっきりと必要な情報を与え続けてくれるものの、搭乗者には少し退屈かもしれません。また、オーディオに関しては完全に時代が反映されており、音楽系はCDチェンジャーとMD(ご存知ない方も多いかもしれません)、ナビゲーションもDVDのデータ容量に頼ることとなり、完全にモノが違います。
携帯のGoogleマップをナビゲーションとして使用し、外付けHDDもしくはFMトランスミッターを使用することをお勧めします。
燃費はカタログデータで10•15モードで8.5km/lと厳しい数値であり、大排気量エンジンの弱点となる、アイドリング時の消費は大きく、市街地では5km/lなどと言う書き込みもあります。また、逆に高速走行や郊外の巡航においては10km/lを超えることも見込まれていて、使うシーンを分けて考えると楽しく付き合えそうです。
表題の「現在地」ですが、走行性能においては現行車両と引けを取らず、燃費と電子系の装備においては旧車、と言ったところでしょうか。燃費については、そこにこだわらない使い方や車両価格の安さでバランスを取って考える、と言う割り切りもありでしょう。
電動オープンも非常に便利ですし、20年近く経過している今でも故障はほどんど聞かず、さすがトヨタ、と感心させられます。
“トヨタ ソアラ”としては2005年6月までの生産でしたが、その後”レクサスSC”となって2010年までほとんど姿、スペックを変えることなく販売され続け、またその後継モデルが不在となるほど、「唯一無二」の存在であることが伺えます。
現行の車がかつての車の全てを上回っているわけではない、と具体的に言える数少ないモデルなのではないでしょうか。値段としても乗り出し100万円以下から購入可能で、形を変えた後継者が無い分、外観での古臭さは感じません。かつての憧れを中古車購入というチャンスを使って実現化し、有意義なカーライフを過ごしてみるのはいかがでしょうか。



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