これまでオープンカーもいくつかご紹介してきましたが、そのほとんどが4人乗りのものでした。後席は実用性があるものと、大人が乗るには現実的では無いものがありましたが、今回は2シーターモデルのアウディTTロードスターをご紹介します。こちらは「コンパクトでスタイリッシュな2シーターオープン」ですが「日常で使える実用性」を両立したモデルです。 丸みを帯びたTTらしいデザインと電動ソフトトップ、2.0Lターボ+Sトロニックによる軽快な走りが魅力的な車両です。
デザインとボディ構造
- 初代から継承されている丸みのあるシルエットと短い全長で、コンパクトながら存在感のあるスタイルが特徴です。
- 電動ソフトトップは軽量なマグネシウムやアルミの骨組みを採用し、開閉が素早く、高剛性ボディとの組み合わせでオープンでもしっかりした乗り味を実現しています。走行中でも時速50km以下であれば開閉可能です。
エンジンと走行性能
主力は2.0L直列4気筒ターボ(TFSI)で、230ps・最大トルク370Nmを発生し、低回転から力強い加速を見せます。フォルクスワーゲングループが得意とする、極めて低回転から厚いトルクを発生させるダウンサイジングターボとデュアルクラッチの6速Sトロニック(フォルクスワーゲンではDSG)が組み合わされ、爽快な「ドライバーズカー」となります。※詳細は「イオス」のご紹介ページもご参照ください。
駆動方式と乗り味
- グレードにもよりますが、アウディ独自のクワトロ(フルタイム4WD)を採用しているものは、雨天や高速道路でも安定感の高い走りを実現しています。
- サスペンションはしっかりとしたスポーティな味付けですが、過度にハードすぎず、長距離ドライブにも耐える快適性と運動性能のバランスが取られています。
室内・実用性
- ここはこの車両のポイントでもありますが、2シーターながら、シート後方とトランクスペースを活かして週末旅行程度なら十分こなせる積載性があり、「趣味車と実用の中間」を実現しています。
- 室内はアウディらしいシンプルかつ高品質なデザインで、丸型エアアウトレットやメーター回りなどにスポーティな演出が盛り込まれています。
ロードスターとクーペの乗り味の違い
- ロードスターは「解放感と軽快さ」、クーペは「一体感と落ち着き」が強い乗り味になることが多いです。 どちらもベースは同じですが、屋根構造の違いがフィーリングに大きく影響します。
(乗り味の方向性の違い)
【ロードスター】
屋根を開けると風や音、景色がダイレクトに入ってきて、速度感や「走っている感」が増すのが特徴です。
オープンカーの中では小柄なボディにより剛性の問題は少ないですが、クーペに比べると細かい入力でボディの「しなり」や振動を感じやすい印象です。
【クーペ】
屋根が固定されている分、ボディ剛性が高く、ステアリング応答や足の動きがピシッとして感じられやすいです。
風切り音やロードノイズが抑えられ、室内が静かで落ち着いているため、高速クルーズや長距離での疲れにくさはクーペに分があります。
(快適性・実用性の違い)
【ロードスター】
オープン時は空気の巻き込みや風切り音が増えますが、オープンでなければ味わえない「非日常感」を強く感じられるのが魅力です。
クローズ時もソフトトップ構造のため、クーペ相比でわずかに静粛性・断熱性が劣る傾向がありますが、小柄なボディサイズから、影響は少ないです。
【クーペ】
夏・冬のエアコン効率やオーディオの音質などはクーペの方が有利です。
荷室形状や後席(ある車種)はクーペの方が広く、日常ユースや荷物を積む場面では扱いやすいです。また、後席を倒すことにより、フラットなスペースも作れます。
(運転の楽しさの質の違い)
【ロードスター】
「速度は控えめでも、風や音と一緒に走りを味わいたい」人や、早朝・夜の気持ちの良い時間帯に流すドライブが好きな人が向いていると言えるでしょう。
ワインディングを“気分で”楽しみたい人には、体感速度が高く、走る行為そのものがイベントになるロードスターの方が刺さりやすいです。
【クーペ】
「ライン取りや荷重移動など、走りの精度を突き詰めたい」人や、高速道路での安定したクルージングを重視する人。
サーキットや長距離ツーリングをメインに考えるなら、剛性・静粛性・空力で有利なクーペの方が相性が良いことが多いです。
ざっくり言うと、ロードスターは「感情に訴える乗り味」、クーペは「安心感と精度の高い乗り味」に振れやすい傾向があります。 どちらを選ぶかは、速度より“気分”を重視するか、静粛性や安定感を重視するかで決めると選びやすいです。ちなみに、車両重量は100Kgとオープン機構の分の差が出ますが、他には全高が2cm違うだけで、スペックはほぼ同様です。

TTロードスターの中古車を選ぶときのポイント
小さすぎず大きすぎないサイズ感、4WDの安心感、オープンエアと上質内装を同時に楽しめることから、「派手さよりも上品さを求めるオープンカー好き」に向いたモデルといえます。ロードスターの中古は、「TT全般の弱点」と「オープンカー固有のポイント」の両方を見ることが重要です。 価格だけで飛びつかず、Sトロニックや幌の状態、整備履歴を軸にチェックすると失敗しにくくなるでしょう。
購入先と車両の基本条件
- ディーラー認定 or 輸入車専門店を優先
アウディの認定中古車や、TTに慣れた専門店は、保証や点検項目が明確で、TT特有の弱点を把握しているため安心度が高いとされています。
一般店で買う場合も、「安さ」より整備履歴・保証内容を重視し、相場より明らかに安い車は理由を必ず確認します。 - 年式と走行距離のバランス
TTは年式が古く走行距離が伸びるほど、トランスミッションや足回りなどの消耗リスクが増すため、極端な多走行車は避けるのが無難とされています。
逆に、年式の割に走行が極端に少ない個体も、動かさなかったことによる劣化(ゴム・シール類)が潜んでいる可能性があるため、状態重視で判断するのがおすすめです。
TT特有のメカ系チェック
- Sトロニック(DSG)の状態
TTでよく挙げられる故障トップがSトロニックで、低速でのギクシャク・変速ショック・警告灯点灯・温まるとバックしない等の症状が報告されています。
試乗では「冷間〜暖まった後」までチェックし、変速ショックや異音、警告灯の履歴がないか、メカトロニクス修理歴やクラッチ交換歴の有無も確認すると安心です。 - エンジンと消耗品
アイドリング不調や吹け上がり不良など、エンジン系のトラブル事例もあるため、始動直後と暖機後の音・振動・チェックランプに注意します。
タイミングベルト採用の世代では、10万km前後での交換が推奨されており、未実施の場合は近い将来の出費として見込んでおく必要があります。
ロードスター固有(幌・ボディ)チェック
- 電動ソフトトップの動作と雨漏り
幌関連の故障も多く、開閉しない・途中で止まる・雨漏り・リアガラス剥がれなどが典型的なトラブルとして挙げられています。
購入前に必ずフル開閉を何度か試し、動作音の異常や引っかかり、幌生地の裂け・シワ・色あせ、リアガラス周りの浮き・シール劣化、水の染み跡がないかを目視でチェックします。 - 幌まわりの手入れ状況
屋根にホコリや汚れが溜まると雨漏りの原因になりやすいとされ、自分でこまめに洗車・防水ケアをしていたオーナーかどうかで、状態に差が出やすいと指摘されています。
幌のクリーニング履歴や、防水コーティングの有無なども聞いておくと、前オーナーの扱い方の目安になります。
ボディ&使い勝手面
- 修復歴と幌周りの歪み
事故修復歴の有無は基本ですが、オープンカーの場合、ボディの歪みが幌の開閉不良や雨漏りにつながる可能性があるため、修復歴車は他のボディタイプに比べ、より避けた方が良いでしょう。候補に上がった場合も、より慎重に状態を見る必要がありそうです。
試乗で段差を越えた際のきしみ音や、ドアの建て付け、幌とガラスの密着具合なども合わせて確認すると、ボディ状態の目安になりますが、目で見るだけでなく、雨天時の状況も確認したいところです。 - ドアの重さ・駐車環境
TTロードスターはドアが長く重いため、狭い駐車場では開閉に気を使い、風の強い日などは注意が必要とされています。
自宅やよく使う駐車場の幅・柱位置を考慮し、「実際に不便にならないか」を事前に確認しましょう。
書類・履歴で必ず見るポイント
- 整備記録簿とオイル管理
オイル交換が5,000〜1万kmごとにきちんとされているか、Sトロニックのオイル交換履歴、冷却系や足回りの交換履歴などを整備記録簿で確認します。
「安いけれど整備履歴が薄い個体」より、「やや高くても記録が揃っている個体」を選んだ方が、結果的にトータルコストを抑えやすいと解説されています。特にエンジンオイルについて、このモデルではロングライフオイルが推奨されているものの、日本の気候、交通環境であれば1年に1回はオイル交換を行っている車両が良いと思います。エンジンのピストンシリンダーにクリアランスがあるようですので、多少のオイル消費はやむをえませんが、だとしたら尚更オイル環境は良くしておきたいですよね。 - 修復歴・保証・今後の維持費
修復歴の有無、保証期間と範囲、今後想定される消耗品交換(タイミングベルト・タイヤ・ブレーキ・ダンパーなど)の見積りを事前に出してもらうと、購入後の出費をイメージしやすくなります。
まとめると、
- Sトロニック・幌・電装の「3大ポイント」は必ずチェック
- 整備履歴と購入店の信頼性を優先し、「安さだけ」で選ばない
- ロードスターならではの幌状態と駐車環境まで含めて検討
このあたりを抑えて選ぶと、TTロードスターらしいオープンエアと走りを気持ちよく楽しめる可能性が高まります。ただでさえ特徴的なシルエットに加え、オープンカーという要素が掛け合わされて高まる所有感は、2シーターの不便な要素すら愛着に変えてしまうでしょう。
最大でも2名しか味わえない贅沢を感じながら、是非有意義なカーライフをお過ごしください。





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