所有する喜び、愛着が湧くこと間違いなし!?見たら欲しくなるカワイイオープンカー”ザ・ビートルカブリオレ”

ザ・ビートル カブリオレは、「ビートルらしい愛嬌のあるデザイン」と「電動ソフトトップの開放感」を併せ持った4人乗りオープンカーで、趣味性が高い一方で、中古で買う際は故障リスクや幌・DSGの状態をよく見極める必要があるモデルです。 その唯一無二のデザインから、ひとたび「欲しい」と思うとその欲求が止まらなくなる一台ではありますが、デザインを優先するがために幾分か譲らなければならない実用性と、かわいらしい代わりに生産ラインを共有しづらいボディラインにフィットさせるオープン機構など、気になるところもあります。以下で、特徴と購入時の注意点を実用目線で整理してみます。

基本的な特徴

ザ・ビートル カブリオレは、ザ・ビートルをベースにした電動ソフトトップ仕様で、日本では2013年頃から導入された比較的台数の少ないモデルです。 丸いフェンダーや立ち上がったボンネットなどクラシック・ビートルのイメージを残しつつ、現代的な安全装備や快適装備を備えた「レトロ×モダン」なキャラクターが魅力です。

エンジンは1.2L TSIターボ(105PS)+7速DSGが搭載され、カタログ燃費はおおよそ17km/Lと、排気量の割にしっかりと加速できるパワーと経済性のバランスが取れた仕様になっています。 ベースグレードや限定車(50’sなど)によってホイールや内装仕立てが変わり、外装色・幌色との組み合わせで印象が大きく変わるのも特徴です。

ソフトトップとボディ構造の特徴

この車の一番のウリであるソフトトップは、多層構造(6層)で静粛性と耐候性を高めており、約10秒程度で開閉でき、時速50km/h以下なら走行中でも操作可能です。 幌を閉じた状態でもある程度の遮音・断熱は確保されていますが、同じフォルクスワーゲンの”イオス”のような金属ルーフのクーペと比べると、雨音や外音、真夏・真冬の断熱性は劣る面があります。

オープンボディのため、ボディ補強が入っており、同時期のザ・ビートルより車重は80kg増となります。大柄な男性1名分ですね。 その分、足回りはややしっかりした印象で、普通に走る分には不安は少ないものの、路面の継ぎ目や段差でボディの「ゆすられ感」やきしみ音の感じは個体差があるようで、しっかり試乗して確かめましょう。「個体差がある」と言いましたが、どう車種を乗り比べることは困難でしょうし、キリがないですから、きしみ音などは、ご自身が「許容できるかどうか」​で判断することがポイントです。

走行性能と乗り味

1.2L TSIターボは低回転からトルクが出る特性で、街乗りや高速の合流でも必要十分な加速が得られます。 最大トルクは175n•mですから、1800ccのNAエンジンとほぼ同等ですね。スポーツカーのような鋭さではないものの、穏やかで扱いやすいエンジン特性で、オープンドライブを楽しむにはちょうどいい性格です。

トランスミッションは7速DSG(ツインクラッチAT)で、スムーズに決まるときはダイレクト感のある気持ちいい変速を味わえます。 ただし、このDSGは後述しますが故障やリコールの話題が多いユニットでもあるため、中古購入時は状態と履歴の確認が必須です。

室内空間と実用性

室内はボディ同色パネルや丸いメーターなど、デザイン重視の遊び心ある仕立てで、コンパクトながら特別感があります。 前席の居住性は十分で、シート形状も適度なホールド感があり、ロングドライブもこなせるレベルです。

後席は大人も乗れる4人乗りですが、実質的には「短時間なら大人も座れるor荷物スペース」と考えた方が現実的で、足元や頭上空間は限られます。 トランク容量もクーペより小さく、オープンカーとしては実用的な方ですが、ゴルフバッグを複数積むような用途には向きません。

安全装備・快適装備

発売当時のコンパクト輸入車としては、エアバッグやABS、ESP(横滑り防止装置)などの基本的な安全装備は一通り搭載されています。 グレードや年式によっては、キーレスエントリー&スタートシステム、マルチファンクションステアリング、アルミホイールなどが標準装備となり、限定車では専用内装や専用ホイールが特徴です。

ただし、最新の衝突被害軽減ブレーキや運転支援システム(ACC、レーンキープなど)は、国産の現行コンパクトカーと比べると装備が見劣りします。 安全装備重視で選ぶ場合は、「必要なら後付けドラレコ・バックカメラ・センサーをどう補うか」も事前に考えておくとよいです。

中古購入時の注意点

ザ・ビートル系は、DSGや燃料系、エアバッグなど複数のリコールが出ており、「国産コンパクト同等の壊れにくさ」を期待するのはナンセンスです。 特に7速DSGのメカトロニクス不具合報告が多く、他にもクラッチ摩耗による症状、燃料パイプやエアバッグ関連のリコールは、中古購入前に必ず実施状況を確認したい項目です。

また、カブリオレ固有のポイントとして、幌の開閉機構・生地の劣化・シールの状態・雨漏りの有無が、将来の修理コストに直結します。 「機関系+DSG+幌+電装」というチェックポイントが多く、コンディションが悪い個体をつかむと、維持費が国産車よりも大きく跳ね上がる可能性があります。

年式別に見た注意点

  • 初期(2013年前後)
    • 7速DSGのリコール・改善対策前後の個体が混在する時期で、DSG関連のトラブル報告が多い世代です。
    • 過走行や経年で、サスペンションブッシュやゴム部品、補機類(ウォーターポンプやオルタネーター)などの劣化も重なりやすく、整備履歴の有無で当たり外れが大きくなります。
  • 中期(2014~2015)
    • DSG関連は対策が進んでいると言われるものの、燃料系や開閉部など他のリコールもあり、やはり履歴確認は必須です。
    • 年式的に「故障が出始めるタイミング」で、幌の折り目やシール劣化、エアコンなど快適装備のトラブルが出始める個体もあります。
  • 後期(2016年以降)
    • 対策や改善で信頼性は相対的に向上しているものの、「ザ・ビートルは故障多め」という全体傾向が完全に消えるわけではありません。
    • 年式が新しい分、走行距離が多い個体も多く、DSGや補機類の寿命が近づいている可能性があるため、「年式より走行距離と整備履歴」を優先して判断したい世代です。

現車チェックの具体的ポイント

  1. DSG・走行フィーリング
    • 停車からの発進時に、ガクガクしたり振動が出ないか(ジャダー)、低速でギクシャクしないかを渋滞想定の低速走行で確認する。
    • 加速時の変速ショックや、Dレンジでのタイムラグが大きくないか、バックに入れたときの入り方などもチェックする。
  2. エンジン・補機類
    • 始動直後の異音、アイドリングの不安定さ、加速時のノッキング感などがないかを確認する。
    • エアコンの効きや作動音、エンジンルームや下回りのオイル滲み・冷却水漏れの有無も重要で、5万km超の個体では特に注意したいポイントです。
  3. ソフトトップ・雨漏り
    • 幌の開閉を複数回行い、途中で止まったり異音がしないか、最後まできちんとロックされるかを確認する。
    • 幌生地の色あせ・ひび、リアガラス周囲のシールの割れ、トランクやリアシート足元の水染みやカビ臭など、雨漏りの痕跡がないかをチェックする。
  4. 足回り・ボディ
    • 段差やマンホールを通過したときに、コトコト・ギシギシといった異音がしないか、直進でハンドルが取られないかを試乗で確認する。
    • ホイールやタイヤの片減りはアライメント不良や足回り劣化のサインになるので、溝の減り方にも目を向けるとよいです。
  5. 電装・装備
    • パワーウインドウ、集中ロック、ナビ・オーディオ、バックカメラ、パーキングセンサーなど、よく使う電装品をすべて動作確認する。
    • 高年式でも細かな電装トラブルは起こり得るため、点灯しないランプや警告灯などがないか、メーター周りもチェックする。
  6. 書類・リコール履歴
    • 整備記録簿で、定期点検・オイル交換・DSGオイル交換・リコール作業の実施履歴を確認し、ディーラーまたは専門店で手入れされてきた個体かどうかを判断材料にする。
    • 車台番号をもとに、公式のリコール情報サイトなどで、対象リコールが「実施済み」になっているかを自身でも確認すると安心度が上がります。

維持費・所有スタイルのイメージ

消耗品や部品価格は、同年代の国産コンパクトカーより高くつく傾向があり、タイヤ・ブレーキ・サスペンション・DSGオイルなどをきちんとメンテナンスすると、その分のコストは覚悟する必要があります。 一方で、コンディションの良い個体を選び、VW系に慣れた整備工場を確保しておけば、「多少手がかかるが、その分オープンエアとデザインを楽しめる趣味車」として高い満足度を得られるモデルです。

屋内駐車やボディカバー、幌用保護剤の使用などでソフトトップの劣化を抑えつつ、年に一度程度は幌やドレン部の点検・清掃を行うと、雨漏りやトラブルの予防に役立ちます。 また、長く乗るつもりなら、DSGオイルをメーカー指定よりやや早めサイクルで交換するなど、予防整備を意識したメンテナンス計画を立てるとよいです。


まとめると、ザ・ビートル カブリオレは「デザインとオープンの楽しさに価値を感じられる人」向けのクルマで、実用一点張りの足車というよりは、多少の維持費・手間を許容しても所有する喜びを優先するタイプの1台です。 中古で検討する際は、年式だけでなく「DSGと幌の状態」「リコール・整備履歴」「保管環境」を重視し、試乗して違和感の少ない個体をじっくり探すのがおすすめです。

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