あれば狙い目!?アウディS5カブリオレ(8F型)

200万円以下で買える

1. 背景・位置付け

これまでにも4人乗りオープンカーを何回か取り上げてきました(BMW2シリーズ4シリーズ3シリーズベンツEクラスフォルクスワーゲンイオス)。今回紹介するアウディS5 カブリオレ は、アウディA5シリーズのオープンカー仕様の中で、スポーティ性能を明確に高めた “S” グレードのモデルです。Sグレードモデルの特徴は、以前ご紹介したS4の紹介も参考にしていただきたいのですが、後述するエンジン特性から、スポーティーになるだけではなく、走りに”上質さ”も加えてくれるものになります。

オープンカーで走りも楽し無ことができ、4人乗りでラグジュアリーかつスポーティな雰囲気。 既存のA5 カブリオレ に対し、S5 ではエンジン/駆動系を一段上げ、外装・内装も専用性を持たせることで差別化しています。
これまでの S5 の中では、クーペが当初4.2 L V8という大排気量自然吸気エンジンを採用していたのに対し、このカブリオレでは一足先に 3.0 L スーパーチャージャー付きV6エンジン に移行したという点もポイントです。

前期・後期がありますが、主にヘッドライトやグリル形状が異なるくらいで、性能にほとんど差はないと思われます。個人的には、後期デザインが好みであることと、少しでも年式が新しい方が、アウディのみならず様々な欧州車にありがちな、細かいトラブルも改善されていることが多く、お勧めです。


2. エンジン・駆動/メカニズム

この 8F型 S5 カブリオレ の肝となるのが、 3.0 L V6 スーパーチャージャー付きエンジンです。
性能の例として、2016年モデルでは「333馬力」「トルク440」というデータから、かなり強力、かつトルクフルなエンジンを搭載しています。また、クーペモデルの8気筒エンジンには及びませんが、6気筒エンジンならではの滑らかなフィーリング、4000cc自然吸気エンジンクラスを上回る豊かなトルク、低回転から聴き始めるターボ設定から、下から上まで澱みなく滑らかに力を発揮してくれます。
また、駆動方式はアウディお得意のクワトロシステムを採用。アウディ伝統の4WD技術が、オープンルーフという環境でも走りの安定性を確保し、先の強力かつトルクフルなエンジンから発生する出力を効果的に路面に伝えてくれます。さらに、スポーツディファレンシャル(後輪左右へのトルク配分)をオプション設定するケースもあり、コーナリング性能とドライバーのハンドリングの楽しさを引き上げてくれます。 
トランスミッションは、これもアウディ(フォルクスワーゲングループ)が誇る唯一無二のデュアルクラッチ「7速 S-tronic(デュアルクラッチ)」が採用されています(後のF5型は「8速 Tiptronic」を採用)。
これにより、開放感を楽しみながらも、十分にスポーティな加速・駆動フィール、上質な吹け上がりと運転の楽しさを得ることができます。


3. 外装・構造・屋根まわり

オープン仕様で注目されるのが「ソフトトップ(布製屋根)+ルーフ格納メカニズム」です。8F型のA5/S5 カブリオレ では、めらるトップではなくソフトトップを採用したことにより、重量配分を低重心にできるとともに、電動でのスムーズな開閉、アウディの洗練されたデザインと幌のカラーバリエーションによる色味づかいの組み合わせによっておしゃれな演出も提供してくれます。
外観スタイルでは、S5専用のフロントグリル、専用バンパー、サイドスカート、四本出しエキゾーストなど、スポーティなアクセントが加えられていて、内外装ともに “S” モデルらしい演出がなされています。


4. 内装・快適性・装備

4人乗りという構成ながら、S5 カブリオレ は内装にも力が入っています。前席スポーツシートは、質感の良いナッパレザーを採用。専用スポーツステアリング、ダイヤモンドステッチなどが採用されており、「ラグジュアリー×スポーツ」のバランスが取られています。 
装備としては、MMIナビゲーション、スマートフォン連携(Apple CarPlay/Android Auto)、高級サウンドシステム、可倒式後席、トランク/屋根格納スペース、風防装備、さらにはシートヒーター充実した内容があります。
ただし、4人乗りとはいうものの、リアシートの居住性・レッグスペースはあまり余裕があるとは言えず、大柄な方には長時間乗車は厳しい感じです。
また、クローズ時の視界・風圧・ノイズに対する対応もしっかりされている様子で、足回りも気になるほどの硬さはなく、乗り心地も上質なものです。


5. 走り・ドライビングフィール

この S5 カブリオレ の最大の魅力のひとつが、「オープンカーでありながら本格的なスポーツ性能を持っている」点です。前述の強力なエンジン+クワトロに加え、サスペンション/ブレーキ/シャシー剛性がそれに見合う設定となっています。例えば2016年モデルのデータでは、0-60 mph(約0-96 km/h)を約4.9秒という加速力を持っており、ドライブを期待させる数値を伴っています。
走行フィーリングとして、オープン時の爽快感を伴いながら、コーナーでの挙動・ハンドリングにも“ちゃんとしたスポーツカー感”があります。サーキット用途というよりは高性能ラグジュアリー・グランドツアラーとしての性格が強く、「ウィークエンドのドライブで景色とともに加速・旋回・開放感を楽しみたい」という人に向いていそうです。
ただし、オープンモデルであること、車体構造上の制約(補強部材、屋根構造による重量増)などから、クーペに比べると軽快感ではやや劣る面もあります。とはいえ、その分派手さを抑えつつ「落ち着いた高性能オープンカー」と言った感じで、開放感と快適性を併せ持っています。


6. 実用性・制約・用途

S5 カブリオレ は、日常使いも考慮されたモデルですが、オープン仕様ならではの制約もあります。例えば、ルーフを格納した際の荷室容量、後席の居住性や頭上/レッグスペースの制限、風・音・雨など屋根開放時の環境影響などです。先述の装備によって不快要素は軽減されていますが、クーペやセダンと比べれば多少犠牲となる部分もあります。
一方で、「ルーフ開放時のオープンエア走行」「高性能エンジン+4WDによる安心感」「煌びやかかつスポーティな内装と装備」という組み合わせが、趣味的用途やセカンドカー用途として非常に魅力的です。
メンテナンス面では、スーパーチャージャー付きV6エンジン、4WD機構、ルーフ機構など、複合的な構成ゆえに「きちんと整備されてきた個体を選ぶこと」が安心につながります。エンジンについては欧州車特にアウディによく見られる「オイル消費」、ミッションもこのハイパワーを受け止める独自ツインクラッチの機構が正常に機能していることなど、コスパに優れているとはいえ中古車の購入にはその点も注意したいところです。


7. 総評・キャラクター

総じて、8F型の アウディ S5 カブリオレ は、「高級オープンカーとしてのラグジュアリー性」と「Sモデルとしての走りの質感」を両立させた車種と言えます。特に以下のような特徴が際立ちます。

  • 3.0 L スーパーチャージャー付きV6+クワトロ (4WD)による安心かつ力強い走り
  • オープンルーフによる開放感と、スポーティなフォルム・装備というバランス
  • 内外装ともに “S” 専用演出あり、所有感・ステータス性も高い
  • ただし、後席・荷室・屋根構造ゆえの制約もあり、「完全に実用」というよりも「使えて走る趣味車」という位置づけ
  • 中古では整備履歴・駆動系・屋根機構・エンジン状態を重視すべき

日本の環境で言えば、日常の通勤/実用オンリーというよりも、休日のドライブ、季節の行楽、時には高速主体で走るような使い方にとても似合う一台です。また、オープンモデルならではのアドバンテージ(風・光・音)を活かせる地域・気候の下では、存分にその魅力を発揮します。

「風を感じながら走る」こんな楽しみを感じられる一台で、是非有意義なカーライフをお過ごしください。

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